Fw:二人羽織の極意「人馬一体」《ナカジfrom 小布施》【2012/05/19 】

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【2012/5/19 第2回白帯心徒塾in小布施】

第1回にひきつづいて満席開催となりました白帯心徒塾。初参加のAさんが1時間遅れの到着となったことを、やぶちゃんはサッとすくいとり、最終的にはAさんをめぐってクライマックスポイントが形成されました。瞬間、瞬間の直感の集積が生みだしていくライブドラマ……何度居合わせても、感動は尽きません。

前半のワークを終えて、やぶちゃんが提案されたのは、Aさんが話し手、そしてこれまた初参加のBさんが聞き手、やぶちゃんが羽織となっての二人羽織わもんです。

まずは羽織抜きでの「わもん」実演。AさんとBさんはもちろん初対面です。数分間の対話を聞いて、みなさんからの感想は……

「(聞き方が)ぎこちない」「軽い事情聴取のよう」「Bさんの質問にAさんが戸惑っていた」「聞き手が筋書きを作ろうとしているので話し手が話せない」「一問一答という感じ」「聞き手が『話さなきゃ』と思っている印象」

ここで羽織やぶちゃん登場。いつにもまして、やぶちゃんは途切れなく、ずっとBさんに話しかけています。初体験とあって、「羽織」の存在に戸惑い、時折背後を振り返ってしまうBさん。ところがBさんのうろたえぶりをよそに、Aさんはさきほどとは打って変わって、よどみなく、気持ちよく、話していかれます。

「羽織わもん」を終えてのみなさんの感想は……

「今回は寄り添っている感じ」「聞いてくれている。だから話せる」「聞き手が『聞いているよ』と表現し、伝えていた。いいタイミングでうなずいてくれるので話したくなる」「話し手が安定して、スルスルと話していた」

さらに「井戸端わもん」を行ったところ……AさんとBさんはグッと親密な雰囲気に……。

Bさん「普段の仕事では、聞く時間より発信する時間が圧倒的に多い。自分の思いをどれだけ伝えるか、スタッフに何かを与えてあげなければならないと、そればかり考えている。『こうあるべき』と思う姿からスタッフがずれていたら、『的確なアドバイスをしなければ』と。相手が砂出しをしていても、出した砂をどうやって運ぶか、どこへ置こうかと、砂の処理の仕方を考えていて、話を聞いていない」

Aさん「二人は似たもの同士だった。人の話を聞く前にアドバイスをしたくなる。家族の話を聞いてあげたいと思う以上に、自分が話したがっていた。聞くときは『聞いてあげている』意識。それも自分が話すために聞いている。Bさんという相手がいるから、そういう自分に気づけた。『してあげている』『してあげなきゃ』と思うことで、自分は疲れる。聞けない悩みもそこから発しているのかも?」

つづいて、みなさんから気づき発表。

「初対面の二人が話しはじめてまだ30分。でも聞き方がいいと、こんなに近づける。お互いに聞いてあげられれば、ガッチリと思いが重なりあう」

「初対面の相手の話を聞くのは難しい、家族の話を聞くのは難しい、というのは思いこみ。そこから少し意識をずらせたら」

「自分も『部下に教えなければ』という形をつくってしまっている。その意識を外さないといけない」

「これが話聞一如だ。『他人同士』から一気に『夫婦』のようになっている」

「人の話を聞くには、自分の頭を空白にすること」

今回Bさんは羽織やぶちゃんの言葉に気をとられて、Aさんの話をしっかりと聞くゆとりがありませんでした。それでもAさんが気持ちよく話せたのは、Bさんが自分の頭で考えられなくなっていたことが、大きく起因していたようです。やぶちゃんもそこを意識して、「考える余裕を与えないために、ずっとしゃべりつづけた」とのこと。

もちろん、羽織やぶちゃんが、うなずきや、承認コメント、話し手の言葉を引き取っての次なる質問などを一つも逃していなかったことが、Aさんが気持ちよく話せた一番の理由でしょう。そのために、都度、一瞬早く判断し、聞き手に応答タイミングを伝えていくのです。

そして、やぶちゃんから……

「二人羽織わもんの一番のポイントは、聞き手と羽織の信頼関係。『人馬一体』の関係になれるかどうか。羽織と聞き手の事前ミーティングでいかに信頼関係を築けるかが勝負」

「羽織は聞き手をとことん尊重する。羽織を終えた後、聞き手の聞く力が少しでも上がることを信じきる」

「聞き手の聞き方シフトで羽織をすることが基本。聞き手の良さを存分に生かしながら、『ここを変えたらもっと伸びる』というポイントにはたらきかけていく」

「自分が羽織をすることで、どれだけ他の人の聞く力が高まるか。その意識で羽織をしています。羽織自身が聞き方を高めれば、聞き手はもっと聞く力が上がる。『自分さえ高まれば』という思いは微塵もぶれません」

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