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遊びにおいでよ図書館へ 1
中島 敏子

まるでテーマパーク!
全児童がくす玉割りで祝う

「3、2、1、0!」。子どもたちの元気な声が響いた。赤や黄色の花で飾られたくす玉が割れ、中から「祝 まちとしょテラソ」の文字。拍手と笑顔が場を満たした。
 2009年7月。長野県小布施町に、宿願だった新図書館「まちとしょテラソ」が誕生。「交流」を柱に、人づくりに力を注ぐ同町の、中核拠点として機体を集める施設だ。町の全小学生約600人がくす玉のひもを引き、約300人の大人が見守って盛大に祝った。
 館の理念は、「交流と創造を楽しむ、文化の拠点」。人が集い、交わる。情報が行き交い、文化が生まれる。そんな躍動する図書館をつくるためには、住民が館への愛着と当事者意識をもつことが鍵となる。知恵を絞り、自ら動き、楽しく物事を成し遂げていくプロセスこそが、その意識を強める。
 花井裕一郎館長(当時)はプロセスを重視した。参加の場を次々仕掛け、周囲を巻き込んできた。そこに「静かに本を読む場所」では収まらない図書館が育ちつつある。
 館内の一隅が、講演会や音楽ライブの舞台にもなる。館内の壁という壁を使って展覧会を開催することも。プロを招いた版画制作やケーキ作り。体操の時間「美術部」の「部活」。さながら生活文化のテーマパークだ。
 遊び心いっぱいの館の船出を祝うには型通りの式典では足りなかった。役職者によるテープカットではなく、一人でも多くの人が参加できる形をと、くす玉割りを企画した。
 同館は11年、先進的な活動が評価され、NPO法人の「ライブラリー・オブ・ザ・イヤー」大賞を受賞。その「遊ぶ図書館」像を紹介したい。
(編集ライター)
(火曜日に掲載)

なかじま・としこ
長野県生まれ。同県小布施町在住。著書に「小布施町新生病院物語」など。「まちとしょテラソ」前館長花井裕一郎氏の著書「はなぼん わくわく演出マネジメント」の編集、執筆補助を担当。

写真:住民のアイデアで実現した「まちとしょテラソ」開館を祝うくす玉割り。町内の全校児童が一斉にひもを引いた=長野県小布施町(大井川茂氏撮影)

日本海新聞 2013年(平成25年)1月29日火曜日付
www.nnn.co.jp

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